2時間7分の壁は破れず 大迫傑に足りなかったレース経験値
「2時間7分台の記録は立派という声は多いが、先頭から遅れたのは31・6キロの折り返しを過ぎてから。35キロから勝負できなかったのは力不足です」
こう苦言を呈するのは陸上ジャーナリストの菅原勲氏だ。
3日に行われた福岡国際マラソンは、ソンドレ・ノールスタッド・モーエン(26)が2時間5分48秒で優勝。フルマラソン2回目の大迫傑(26)は2時間7分19秒で日本人最高位の3位でフィニッシュした。
日本選手の15年ぶりの2時間6分台は見られなかったものの、自身は「自己ベストが出てうれしいです。もう少しトップ争いをしたかったけど、でも最後まで粘れた」と言えば、陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダーの瀬古利彦氏も「大迫にあっぱれと言いたい」とご満悦だった。
前出の菅原氏は、「手放しで褒めるほどの結果ではない」と言って、こう続ける。
「米国のプロチームで五輪のメダルを狙う大迫は、これまでの国内選手とはタイプが違う。期待するからこそ、自己記録が2時間10分台のモーエンとは終盤まで競って欲しかった。35キロまでついていけなかったのは経験不足もあるでしょう。今回の走りで2019年9月以降に開催予定の五輪代表を決めるマラソングランドチャンピオンシップの出場権は得た。今後は海外レースにどんどん参加して、手ごわい相手とのレース経験を積んで欲しい。海外のトップ選手が目の色を変える高額賞金レースの他に、自身が初マラソンで走ったボストンやニューヨークシティーも賞金レースだが、ペースメーカーがいない。アフリカ勢のスピードの上げ下げや駆け引きを学ぶにはいい」
どうにかメダルの期待を持たせてくれるだけの選手にならないものか……。