世界陸上で銀&銅 競歩が日本で“本当のお家芸”になる日

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 常にどちらかの足が地面に着いていなければならないし、接地した足は地面と垂直になるまで膝を伸ばさなければならない――。

 昨13日の世界陸上男子50キロ競歩で荒井広宙(29=自衛隊)が3時間41分17秒で銀メダル、小林快(24=ビックカメラ)が3時間41分19秒で銅メダルを獲得。スポーツマスコミが「日本のお家芸誕生」と騒ぎ出した競歩の競技者の独特なフォームは冒頭の2つの定義から生み出され、審判に関する規定も含めたルールは山ほどある。

「競歩ほどルールに縛られた陸上種目はおそらくないでしょう」と、スポーツライターの武田薫氏がこう言う。

「ルールは本来、スポーツをするうえで必要不可欠なもの。ただ速く走ればいい種目とは違い、競歩は都市や文明のスポーツなのです。審判が絶えずルール違反がないかチェックしなければならないため、マラソンのようにだれもいない山の中をコースにするわけにもいかない。日本では石川県などで多くの大会が行われていますが、本来は丸の内あたりの都市部をグルグルと回る紳士の競技で、競技者はだれより自分を律しなければなりません。日本ではルールはもちろん、そういった競技の背景すら一般的に認知されていない。だから競技者を受け入れようという企業や組織もまだまだ少ない。競歩という競技が本当の意味で日本に根付かない限り“お家芸”にはならないと思いますよ」

 競歩はこれまで日本人が先天的に劣るといわれた瞬発力や絶対的なスピードだけが勝敗を分けるわけではない。日本人にとって、可能性のある種目であることだけは間違いなさそうだが。

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