精一杯の銅 高梨沙羅が“金メダル宣言”に隠し続けた重圧
■直前の海外合宿が奏功
名物の強風は吹かず、吹き流しがダラリと垂れ下がることもあった予想外のコンディションの中、伊藤有希のように、追い風や横風に泣かされる選手はいたものの、この程度の風ならルンビ、アルトハウスが大幅に飛距離を落とすことはない。
天候が荒れない限り、金メダルは、実力が頭2つぐらい抜けている2人のどちらかに決まっていたといっても過言ではない。
女子ジャンプは銅メダル争いだったわけだ。国内のジャンプ関係者もこう言う。
「ソチ五輪の時の高梨は金メダル取りの重圧でガチガチだった。ジャンプは2本とも不利な追い風だったが、緊張で自分のジャンプができなかったことが大きい。今回の日本代表4人は五輪前の最後のW杯が行われたスロベニアに残り、プラニツァの合宿で10本程度飛んで、そこから韓国に入ってきた。帰国すればマスコミがうるさい。高梨は静かな環境で最終調整できたこともメダルにつながったのではないか」
銅メダルの高梨は、「目標の金メダルには届かなかったが、最後の最後に一番いいジャンプが飛べたのでホッとした。ソチからこの4年間、悔しい思いをバネにやってきたが、自分はまだ金メダルを取る器ではないとわかった。まだまだ競技者として勉強することがたくさんある」
次回の北京五輪は25歳。その時、高梨はまだ世界のトップ3にいられるだろうか。
他の日本勢は、伊藤有希(23)9位、岩渕香里(24)12位、勢藤優花(20)17位だった。