著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

全仏で完全復帰も若手台頭 錦織圭を待ち受ける厳しい前途

公開日: 更新日:

 ただ、錦織が元に戻っても、その間に世界は前進していたことを思い知らされた。

「ティエムはサーブが速くなり、粘りが出てきたと感じた。訳の分からない試合だった」

 第1セット、時速220キロに及ぶファーストサーブをぶちかまし、ラリー戦に入ってもベースラインへ、ダウンザラインへ、ラインを叩くウイナーを何本も決められた。第1、第2セットのファーストサーブからのポイント獲得率は100%。ライン際に時速200キロ超のボールを思いきり打つだけの自信を、錦織の留守中に蓄えていたのだ。第2セットの0―6のスコアは、その現実に気付かされたショックを物語っていただろう。

 多くの故障者が出た昨シーズンは、ティエムを筆頭に多くの若手が台頭した。アレキサンダー・ズベレフ(21歳)、カレン・ハチャノフ(22歳)、デニス・シャポバロフ(19歳)……これら“留守中”の訪問者がツアーの中核を占めていることを実証した大会であり、錦織には完全復帰だけで喜んでいられない厳しい前途が待っている。

 手首の痛みも残る。テーピングをしていれば問題ないというが、ミスヒットでは影響があることは、この試合でもうかがわれた。これからはイレギュラーの多い芝シーズンだけに、そこへの不安も大きくなる。長い目で見る強い気持ちが必要だ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広末涼子が危険運転や看護師暴行に及んだ背景か…交通費5万円ケチった経済状況、鳥羽周作氏と破局説も

  2. 2

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  3. 3

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  4. 4

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  5. 5

    露呈された韓国芸能界の闇…“兵糧攻め”にあうNewJeansはアカウントを「mhdhh」に変更して徹底抗戦

  1. 6

    大阪万博ハプニング相次ぎ波乱の幕開け…帰宅困難者14万人の阿鼻叫喚、「並ばない」は看板倒れに

  2. 7

    大阪・関西万博“裏の見どころ”を公開!要注意の「激ヤバスポット」5選

  3. 8

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  4. 9

    広末涼子が逮捕以前に映画主演オファーを断っていたワケ

  5. 10

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い