全仏で完全復帰も若手台頭 錦織圭を待ち受ける厳しい前途
錦織圭の全仏オープンは4回戦までだった。故障・休養明けから初のメジャー出場に注目が集まったが、第7シードの23歳、ドミニク・ティエムに2―6、0―6、7―5、4―6。完敗といっていいだろう。
ティエムとの対戦成績は、これまで錦織の2戦2勝で1セットも与えていなかった。そこに、もしかしたらの期待があり、本人も「ナダル以外の選手に壁は感じていない」と自信を語っていた。
だが、それは2016年までの記録で、ティエムは錦織が途中離脱した昨年に羽ばたいた若手の旗頭――この“時差”に休養明けの難しさがある。
1回戦からマクシム・ジャンビエ、ブノワ・ペールの一発屋を退け、3回戦では逆に粘りにたけたベテランのジル・シモンを冷静沈着にストレートで葬ってきた。
この時点で、故障からの完全復帰を口にし、ボールを自由自在に散らす“危険な圭”に戻っていた。
コーチ陣もマイケル・チャンを筆頭に変わらぬ顔ぶれで、家族席には恋人の姿もあり……我らが錦織圭は、8強入りした昨年までの域に達したといっていい。