南ア大会の再現期待も 西野監督と岡田氏に2つの決定的違い
その一因は指揮官のマネジメントにある。8年前の岡田監督は、本大会の2戦前のイングランド戦からMF阿部勇樹(浦和)を守備専任に置いた超守備的な布陣を採用した。
「自陣に引いて徹底的に守る」という戦いに舵を切り、結果的に功を奏したのである。
だが、西野監督は1カ月しかない準備期間に3バックと4バックの併用を打ち出し、多彩な戦い方を求めている。
本番前の最後のテストマッチとなるパラグアイ戦(日本時間12日午後10時5分キックオフ)も、西野監督はスイス戦後に「いろんな可能性を求めて」と話し、控え主体で挑むという信じがたいコメントを発した。
メディア陣から「チームや戦い方を固定した方がいいのでは?」と聞かれた長谷部は「それは監督が決めることなんで」と言葉を濁したが、8年前を知る選手が「1つの方向に絞って進むべき」という考えを抱いても不思議はないはずだ。
2つ目の問題点は、停滞感を打破するフレッシュな人材が出てこないこと。8年前の岡田日本には、当時23歳のMF本田圭佑(パチューカ)を筆頭にチームに活力を与える人間がいた。直前合宿で調子を上げて南アW杯初戦のカメルーン戦で本田の先制ゴールをアシストしたMF松井大輔(横浜FC)もしかり。彼らが台頭したからこそ、MF中村俊輔(磐田)や楢崎正剛(名古屋)らベテラン切りを断行できた。