16歳結城海斗を待ち受ける マイナーの生存競争と嫌がらせ
高校から直接、メジャーに挑戦することすら異例なのに、中学を出たての16歳が海を渡るというからオドロキだ。
米大リーグ、ロイヤルズとマイナー契約を結んだ結城海斗が8日、大阪で会見。「甲子園を目指してたけど、シニア選抜で米国に行き、米国で野球をしたいという思いが強くなった」と話した。
188センチ、73キロの右投げ右打ち。すでに140キロ超の速球を投げ、数多くの野球名門校から誘いがあったという。逸材には違いないが、素質があるからといって米国で成功するとは限らない。
例えば、韓国ではこれまで100人近い高校生が直接、海を渡ったが、モノになったメジャーリーガーといえば秋信守(35=レンジャーズ)くらいのもの。体もアタマの中身も大人になり切れない18歳が単身、米国に渡っても実力を発揮する以前に頓挫するケースが圧倒的に多いという。
マイナーは食事や環境が劣悪なうえ、生存競争の激しさはハンパじゃない。新品の野球用具を置き忘れようものなら、あっという間にかっぱらわれるし、嫌がらせも日常茶飯事。隙あらば他人を蹴落としてやろうとギラギラした連中がごまんといる。中でも中南米出身の選手は食うか食われるか、ギリギリの中で野球をやっているのがほとんどだ。高校生ですら過酷な生存競争で淘汰されてしまうのだから、16歳にとっては、とてつもなく高いハードルといわざるを得ない。
まして結城は英語をまったくといっていいくらい話せないそうだ。「不安より期待が大きい」と言うが、「期待」がしぼまなければいいのだが。