ロシアW杯を制したフランスに感じた長期政権のメリット
フランスが優勝を決めた後、表彰式を見ながら印象的だったのは、降りしきる雨の中でディディエ・デシャン監督(49)が、自分の息子のような年齢の選手たちと一緒にはしゃいでいたことだった。普段はめったに感情を表に出さない“お堅いタイプ”の指揮官だけに、意外な一面を見た気がした。
その後に行われた監督会見でも、エモーショナルな光景が展開された。
デシャン監督がコメントすると同時に選手たちが乱入し、シャンパンや水を浴びせながら「ディディエ~デシャン~」と歌いながら踊り、世界一に導いてくれた“父親”を盛大に祝ったのだ。
各国から集まった大勢のメディアの前でサプライズの祝福を受けたデシャン監督は、ずぶ濡れになりながらもうれしそうな表情を浮かべていた。
ロシアW杯を制したフランスの強さは、この光景に集約されているのではないだろうか。
20年前に選手として世界一を経験したデシャン監督が、12年7月に就任して6年の時間をかけてチームの土台を築き、世代交代を進める中で台頭した若手タレントを実戦に投入することで強化を積み上げていった。