慶応・森林監督に聞く NTT社員から指導者を目指した理由
――でも?
「NTT入社1年目で、高校野球が懐かしくなったというか、あの熱い世界で、もう一度やりたい、と。サラリーマンではあんなに熱くなれることはないんだろうな、と思ったんです。そこで、1年で退社を決意。2年目、3年目は指導者になるための資金稼ぎだと割り切っていました」
――退社後は筑波大に3年間在籍していますね。
「僕は慶応大で教員免許を取っていなかったので、そのためというのがひとつ。もうひとつはコーチングの勉強です。筑波大に入学した1年目は1単位いくらの科目履修で、学部の授業に出ていました。そして1年の秋に、大学院の社会人入試に合格したので、2、3年目は大学院でコーチングの勉強をしつつ、教員免許取得のため、大学の方の授業にも出ていました。幸い、コーチング理論研究室に3年間在籍させていただいたので、非常に勉強になった」
――社会人を辞めたことに不安はありませんでしたか。
「不安はありましたよ。でも、充実がそれを上回っていましたね。大学近くに借りたアパートは、築30年で家賃3万5000円。隣の部屋の電話の音が聞こえるような部屋です(笑い)。でも、自分で稼いだお金で大学に通い、地元のつくば秀英高(茨城)でコーチもした。やりたいことをやれて、一日が満たされていく思いでした」