初日はカモ相手 崖っぷち稀勢の里の去就は勢との勝敗次第
泣いても笑ってもここが正念場だ。
9日に初日を迎える大相撲9月場所。8場所連続休場明けとあって、成績次第では進退を決めざるを得ない横綱稀勢の里(32)の初日の相手は、東前頭筆頭の勢(31)となった。
対戦成績は横綱の15勝1敗。カモと言ってもいい相手だが、最後の対戦となった昨年7月場所は逆転負けを喫している。左を差して追い詰めたものの、小手で振られ、土俵下に投げ捨てられた。この取組で左足首を負傷し、翌日から休場となった。
ある親方は「それでも勢は安パイですよ」と、こう続ける。
「当時、稀勢の里は左上半身のケガが癒えず、絶不調の時期。体重も180キロを超えて動きが鈍く、粘り腰もなかった。現在は当時より10キロ近く減量し、176キロ。稀勢の里は左四つ、勢は右四つのけんか四つです。落ち着いて左を差せば、怖い相手ではない。むしろ、勢の方が苦手意識を持っているので、差し手争いも有利に働くでしょう」
今場所は白鵬、鶴竜の2横綱が休場せず、稀勢の里は彼らに次ぐ3番手扱い。慣例では東西の“正横綱”は初日に小結と対戦する。今場所の小結は玉鷲と貴景勝。ともに押し相撲で、一発逆転を狙える技術も備えている。特に貴景勝とは過去3戦と取組こそ少ないものの、1勝2敗と負け越している。組みしやすい勢が初日の相手となったとはいえ、2日目にはその苦手の貴景勝との取組が待っている。
7日は稽古を公開せず、報道陣にも無言を貫いた和製横綱。勢に勝って弾みをつけるか、それとも番狂わせでズルズルと黒星を重ねてしまうのか……。