大谷翔平に手術回避の勧め…左打ちで“経験者”の柴田博之氏
現役時代の01年に外野手ながら当時としては珍しくTJ手術に踏み切った人がいる。元西武の柴田博之氏(42=左投げ左打ち)だ。現在は、東京・瑞穂町で運営する野球塾「やきゅうま」の代表を務める柴田氏は「僕の場合は左肘の靱帯断裂で復帰まで8カ月でした」とこう続ける。
「腱は自分の左手首から移植して、術後、固定していたギプスは2~3週間で取れたと記憶しています。固定している間も、右手でバットは振っていました。リハビリは体幹や下半身強化が中心で、送球はテニスボールを使って、最初はゴロを転がすことから始めました。故障してから曲がらなかった左肘が術後は回復しましたが、しばらくは自分の肘ではないという感覚が拭えませんでした。それに『もう一度やってしまうんではないか』という恐怖心とも闘いました。投げた時に時折、肘に少なからず衝撃が走るとびくびくしていました」
柴田氏は左投げ左打ちなのに対し、大谷は右投げ左打ち。右肘にメスを入れた場合、打撃に影響はないのか。
「左打者の場合、球を捉えた際に衝撃を受けるのは左腕です。振り抜く際に左手でバットを押し込むので、大谷君の利き腕である右腕への負担は少ないと思います。今はリハビリなども進歩しており、僕の頃よりも早く復帰できるでしょうが、経験者として大谷君はできるなら手術は避けた方がいいと思います。僕の場合は、手術してから左肘をかばうのが癖になってしまい、体のバランスを崩したのでしょう。最終的には腰を痛めてしまった。手術すれば、大谷君も何らかのリスクが生じる可能性もあるので、DHでプレーしながら、患部の治療を行い、二刀流としての復帰を模索してもらいたいですね」(柴田氏)
例えばヤンキースの田中のように、投手によっては損傷程度なら投げられるケースもある。大谷の決断はいかに。