唯一トラックマン未導入でも…勝てる広島の「データ戦略」
「データだけでは限界がある。内角速球に弱いといっても、球速が5キロ遅ければ打てるかもしれない。試合中、1打席目でカウント0―1から外角やや低めの直球をスイングしてきた場合、次の打席でも同じカウントから外角球を打ってくる、といった打者の反応はバッテリーやベンチが目で見て判断するしかない」
メジャーでは、球場全体を撮影して選手の動きを追跡する「トラキャブ」をトラックマンと組み合わせた「スタットキャスト」で打者の打球方向や落下地点を分析、守備に生かしている球団もあるが、日本の球場はメジャーに比べてビデオの設置台数が少ないため、スコアラーの目に頼るしかないという。各球団は今、トラックマンデータとは別の独自の情報収集、分析のシステム化に力を入れ始めている。
「広島はチーム全体で戦略を立てて戦う。緒方監督自身が朝から優秀なスコアラーと一緒に、相手投手のクイック、クセの研究などに時間を割くなど、念入りな準備をしています。もちろん、いくら対策を立てても実行できる選手がいないと宝の持ち腐れになりますが、その点でも広島の情報戦略や選手の対応力は決して、他球団より劣っているとはいえない」
とは、前出のスコアラーである。