阪神金本監督には普通の新米監督に適用されない評価基準が
よって、金本監督の結果はそこまで悪くないという見方もできる。3年前、監督就任当初のキャンプやオープン戦で「超変革」を掲げ、無名の若虎たちを次々に起用した金本阪神の活気あふれる姿を思い出す。あのころの興奮は、まぎれもなく金本監督の功績だった。
ただし、それは普通の新米監督に求められる評価基準であって、金本監督の場合は少し状況が異なる。彼は選手編成やコーチ人事などにも影響力を有する、いわゆる“全権監督”に近かったという。昨オフ、当時の掛布雅之二軍監督が辞したときは、金本監督との指導方針のちがいが一部マスコミを通じてクローズアップされ、あたかも金本監督がミスタータイガースに大ナタを振るったかのような印象を与えた。
こういった背景を考えると、その強権に見合った厳しい評価基準が適用されるのは世の道理であり、だから今回の辞任もやむなしという結論にたどり着く。要するに金本監督は、いや彼を三顧の礼で迎えた阪神球団は、本来は寛容に見るべき新米監督に対してハードルを高く上げすぎたのだ。
だいたい新米監督に三顧の礼って、今振り返っても変な話であった。