近代野球の日本シリーズはリリーフ投手が勝敗のカギを握る
「野球は8割が投手で決まる」とは野村克也氏の口癖だ。昔は投手の先発完投が主流でエースに勝敗の行方を託したものだ。21世紀は継投の時代。今回は日本シリーズのリリーフに焦点をあててみたい。
例えば78年。リーグ初優勝した広岡達朗監督率いるヤクルトが下馬評を覆して上田利治監督の阪急に勝った。このシリーズでは両軍合わせて6完投。特筆すべきは2つの完投負けだろう(今井雄太郎が157球、山田久志が150球。いずれも阪急)。「エースが投げ抜いて、打たれて負けたら仕方ない」といった当時の野武士野球を象徴している。70~80年代のシリーズは完投が実に62。リリーフは延べ449人。それが98年以降の20年では15完投しかなく、リリーフは681人へ大きく増加している。これはプレーオフ導入による先発投手への負担増も要因だが、リリーフ投手に依存する理由は、六回を終えて1点ないし2点リードしたときの勝率に表れている。70~80年代では42勝18敗3分け(.700)。逆転されるか、追いつかれる試合も多かった。98年以降では41勝12敗1分け(.774)。リリーフ投入による火消しが勝率を高めたことは明白だ。