プロ人生に終止符 摂津正の「10年」はソフトB“慧眼”の証明
「正直、10年やれるとは思ってなかった」
8日、ソフトバンクの摂津正(36)が引退会見を行い、心境を吐露した。
ここ3年間は4億円もの年俸をもらいながら、計21試合で4勝8敗。14年オフに行った肉体改造の失敗や、工藤監督との確執もあって、出番が激減した。ある球団関係者は「増量に失敗してフォームのバランスを崩し逆にパワーダウン。見かねた工藤監督がアドバイスを重ねたものの頑固な摂津は聞く耳を持たなかった。報道対応を重視する指揮官と、そうでない摂津という考え方の不一致もあり、一軍とは疎遠になった」と言う。
それでも摂津がずぬけた投手だったことは、色あせない事実だ。2009年の入団1年目から2年連続で、リリーフとしてリーグ最多登板となる70、71試合に登板。11年からは先発に転向し、12年には沢村賞を獲得するなど5年連続2ケタ勝利をマークした。
全盛期はメジャーも本気で獲得を狙っていたほどのエース右腕。驚くべきはプロ入り当時すでに26歳、ドラフト5位での入団だったことだ。
「フツーなら獲得をためらう年齢。ソフトバンクの慧眼と言うべきでしょう。頑固な半面、忍耐力と負けん気が強く、プロでも十分通用できると踏んだドラフトの戦略勝ちですよ」
とは、他球団スカウト。ソフトバンクが強いのもうなずける――。