大坂なおみの世界1位を手放しで喜べないテニス協会の胸中
錦織は16年のリオ五輪で銅メダルを獲得したものの、本心は出たくなかったのだろう。「(ゴルフの)松山君が出ないというのを(ネットで)見て、僕もあまり出たくないなと思いました」と話したことがある。リオ五輪は照準を合わせていた2つのマスターズのちょうど中間にあるうえ、その年から五輪がツアーポイントに加算されなくなったことも大きかったに違いない。
だからこそ協会は「愛国心」や「日の丸」をエサにして錦織を五輪に引っ張り出そうともくろんだし、五輪で商売したいスポーツ紙もまるで協会のたいこ持ちみたいに出場ムードをあおった。
錦織は結果として五輪に出場、メダルまで獲得して日の丸に貢献したが、二重国籍の大坂に東京五輪以降も日の丸を背負わせることができる保証はどこにもない。
まして大坂はすでに世界の頂点を極めたテニス界のトップ選手。早くも5月下旬の全仏や7月の全英(ウィンブルドン)も勝てるのか、世界中で注目されている。今回の快挙で、協会が大坂を日本という枠に閉じ込めておくことはいっそう難しくなった。