東京五輪マラソン選考MGC 女子出場権はなぜたったの9人?
チャンスはあと1回だ。
3日に行われた東京マラソンは男子のMGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)シリーズ対象レースだった。5位堀尾謙介、6位今井正人、7位藤川拓也、8位神野大地の4人が、9月15日に行われるMGC(=五輪代表選考会)の出場権を新たに獲得した。
男子はここまで28人がMGC切符を得ている。天候にもよるが、MGCの最終対象レースとなる10日のびわ湖毎日でも複数の獲得者(日本人3位まで2時間11分以内、同4~6位は2時間10分以内)が出るかもしれない。
一方の女子は、やはり10日の名古屋ウィメンズが最終対象レース。ここまでMGC切符を手にしているのは9人しかいない。名古屋も日本人3位までは2時間28分以内、4~6位以内は2時間27分以内でMGC出場権を取れるのだが、ある実業団OBがこう言う。
「2時間27~28分という条件でMGCの出場権を得ている選手がたったの9人というのは寂しい。1月の大阪国際でも、2位に入った小原怜はすでにMGC出場権を得ていたので、結局権利を取ったのは全体4位の中野円花1人だけだった。女子のレベル低下で囁かれているのが例の注射です。陸連は昨年、ほぼ野放し状態だった鉄剤注射の使用を原則禁止にした。鉄分不足による貧血治療に使用されていたこの注射は、特に女子の長距離選手に使用者が多かった。血液中で酸素を運ぶヘモグロビンを増やして持久力を高める効果があり、ドーピングにならないことで指導者も記録のために安易に打たせていた。それに制限がかかったことで、女子マラソンの記録が伸びなくなったという声もある。そんな雑音をかき消すためにも名古屋では5人以上の選手がMGC切符を取って欲しいですね」
ちなみに昨年の権利獲得者は3人だったが……。