大関昇進の貴景勝「押し相撲に横綱なし」の通説覆す条件は
■豪栄道・御嶽海への対策が強化に
ところが、貴景勝は「まわしを取らない、突き押し一本」と自ら話しているように、今後も相撲を変える気はないという。175センチの上背と短いリーチは相手の懐にもぐり込んでの押しで威力を発揮するものの、四つ相撲では不利。組んだところで、身長差のある力士には肩越しに上手を取られかねない。
ある親方は「押し相撲だけで横綱を目指すなら、苦手力士をなくすことです」と、こう話す。
「大関豪栄道には2連敗中で、御嶽海には5連敗中。いずれも対戦成績は3勝7敗です。前者には鋭い踏み込みに圧倒され、後者には巧みに距離を詰められて、当たるスペースをつくらせてもらえなかった。横綱の昇進条件は『2場所優勝、あるいはそれに準ずる成績』。取りこぼしは許されず、苦手力士がいる時点で賜杯は難しい。逆に豪栄道の鋭い踏み込みに対応できれば、それだけで武器になる。上を目指すには、御嶽海の工夫をはねのける頭脳も必要。つまり、2人への対策がそのまま自身の強化につながるというわけです」
苦手意識の払拭が、重い扉を開くカギになりそうだ。