大関確実の貴景勝 突き押し強化に必要な“離陸軌道”とは?
念願の昇進も、試練はここからだろう。
横綱白鵬のV42で幕を閉じた大相撲春場所。この場所でもっとも注目を集めたのが、大関とりに挑戦していた貴景勝(22)だ。24日は大関栃ノ心を下し、10勝5敗。27日の臨時理事会で、正式に大関昇進が決まる。
しかし、貴景勝には課題も多い。この日の相撲は阿武松審判部長から「重圧の中で、一方的に大関に勝った」とベタ褒めされたが、前日までは不安定な相撲内容を懸念する意見もあったという。11日目は白鵬に善戦するも、12日目は豪栄道に完敗。13日目は高安を正面から打ち破ったかと思えば、14日目は逸ノ城に何もできずに負けている。仮に千秋楽で負けて9勝止まりだったら、昇進は見送られていただろう。
ある親方が言う。
「貴景勝は手が短く、四つ相撲には不利。いまさら相撲の幅を広げたところで、持ち味を殺してしまいかねない。となれば、今以上に当たりを強くするしかない。そのためには徹底的な下半身強化です。低い重心から飛行機が離陸するような軌道で当たれば、相手が警戒していようがはね飛ばせる。距離を取るための突っ張りも、もっと回転を速くした方がいい。短い腕を精いっぱい伸ばして突き放しても、長身力士の射程圏内では効果は薄い」
どんな大関になりたいかという質問に、「まわしを取らず、突き押しで、気持ちで取る力士になりたい」と答えた貴景勝。
コンスタントに優勝争いに絡める大関になってほしいものだが……。