プロ1号は逆転満塁弾 DeNA楠本の意識を変えた筒香の“金言”
「あの展開は誰もが予想しないことだった」
9日、DeNAのラミレス監督がこう言った。西武戦の八回、1点を追うDeNAは四球や内野安打などで2死満塁の好機をつくる。ここで代打に送ったプロ2年目の楠本泰史(23)が逆転満塁本塁打。楠本にとってプロ1号となる“まさか”の一発で試合をひっくり返しただけに、ラミレス監督が驚いたのは無理もなかった。
プロ初本塁打が代打逆転満塁本塁打だったのは、75年の久保俊巳(広島)以来44年ぶり。史上2人目の快挙である。
「苦しい時期に振ったバットは結果に返ると信じてきた」
そう語った楠本には、プロ1年目に味わった苦い経験がある。開幕一軍を勝ち取った昨年4月の中日戦で四球を選んで出塁。次の打者だった嶺井が右飛に倒れた際、帰塁が遅れてアウトになる。このミスで、ラミレス監督に途中交代を命じられ、翌日に二軍落ちした。
走塁への意識が高いラミレス監督の「懲罰」は珍しくなく、ほかにも同じペナルティーを受けた選手はいたが、楠本はこの失敗を悔やみ悩んだという。その後も一軍と二軍を行ったり来たり。そのたびに筒香、神里、佐野など層の厚い外野手のレギュラーたちと自らとを比較し、劣等感にさいなまれた。