八村塁19得点 両チーム最多タイの大暴れがもたらす“男気”
6月のドラフトで全体9位指名を受けた実力は言うまでもないことだが、日米の関係者から高く評価されているのは、その男気だ。
日本協会の東野智弥技術委員長によれば、昨年のW杯アジア地区2次予選への招集を打診した際には二つ返事で了解を得たという。
当時の代表チームは7月の豪州戦を落とすなど、崖っぷちの状態だった。8月のアジア大会(ジャカルタ)では、代表選手による買春が明らかになり、男子バスケ代表は日本中から非難を浴びて逆風に立たされた。
■日本のためにひと肌脱ぐ
そんな日本バスケ界の現状を黙って見ていられなかったのだろう。東野技術委員長からのオファーに「今の日本の現状を打破できるのは僕ら(グリズリーズ・渡辺雄太)しかいませんよね。喜んで協力させていただきます」と応じたという。
この時、八村はゴンザガ大2年生で、NBA入りを夢見ていた頃だ。世界のトップ選手が集うW杯本大会ならまだしも、レベルの落ちるアジア地区予選で活躍したところで、NBAスカウトの評価につながるとは限らない。八村は自分の夢の実現よりもまず、日本バスケ界の窮状を救おうと一肌脱いだわけだ。八村はゴンザガ大入学当初こそ、英語が話せずチームOBでビデオ係を務めていた日本人スタッフに頼っていた。だが、2~3カ月後には、日本人スタッフの助けを借りず、片言の英語でチームメートとコミュニケーションを図り、良好な関係を築いてきた。ウィザーズが今年のドラフト候補としてリストアップした200人の中から、3月に早々と1位指名を決めたのは、八村の実力に加え、コミュニケーション能力の高さ、献身的な姿勢も評価したからだという。
八村の男気は、今季2シーズンぶりのプレーオフ進出を目指すチームにどんな影響を及ぼすか。