星稜・奥川「154km連発23K・165球完投」で生じた付加価値
スター不足に悩むプロ球団が、あるとき、ドラフトでどういった選手を獲得すべきかという議論を真剣にやった。出た結論は「一流選手に育つだけの技術的な裏付けはもちろん必要だが、春のセンバツや夏の甲子園でファンの印象に残るような活躍をした選手」だった。
1年時から5季連続で出場して2度優勝した桑田、清原のKKコンビしかり、5打席連続敬遠の松井秀喜しかり、春夏連覇、夏の決勝戦でノーヒットノーランを達成した松坂しかり。この球団の関係者によれば「高校時代に甲子園でファンに認知された選手には付加価値がある」そうだ。
さて、星稜の右腕・奥川恭伸だ。ドラフト1位候補であることは言うまでもないが、去る17日の智弁和歌山戦で154キロを連発して23奪三振、計165球を投げて延長十四回を完投したことで、くだんの「付加価値」が生じたという。
4季連続出場も、エースナンバーを背負うようになった昨夏と今春は2回戦敗退。プロ注目の好投手、大会ナンバーワン投手ではあっても、周囲の視線をクギ付けにするような活躍をしたわけではない。