第1回W杯は3連敗したものの完敗だったとは思っていません
当時のラグビー界は、日本も世界もアマチュアの時代。プロ化の進んだ現在と違い、W杯自体も牧歌的だったと思います。
■オックスフォード大歴代ベスト15
W杯を経験して世界でも戦える自信をつけた僕はその後、所属先の神戸製鋼の留学制度を利用して英国オックスフォード大学でプレーしました。
ただ、僕は英語のレベルが低く、馴染むまでには相当苦労しました。
英語の勉強はもちろんチームメートと仲良くなるために歌を歌ったり、ときには踊ったり、とにかくレギュラーポジションを奪うために必死でした。その努力が実ってケンブリッジ大学とのバーシティマッチにも出場し、後にオックスフォード大学の歴代ベスト15にも選ばれました。
チーム事情で慣れないプロップでプレーしましたが、海外で自分の居場所をつかみとった当時の経験は、その後の人生を生きる上でも大いに役立っています。(つづく)
▽はやし・としゆき 1960年2月8日、徳島県生まれ。地元の城北高から同志社大。神戸製鋼で7連覇の偉業を達成した。90年にオックスフォード大に留学。同大の歴代ベスト15に選出された。現役時代は身長184センチ、体重103キロ。代表キャップ38。ハード&クリーンなプレースタイルを貫き「世界を最も知る男」「世界に最も近づいた男」と高く評価された。現在は特定非営利活動法人ヒーローズの理事長として精力的に活動している。