広島バティスタ処分で露呈…球界はドーピング意識が希薄
とはいえ、過去の日本プロ野球でのドーピング違反の処分を見ると、試合数による出場停止のペナルティーを受けた選手はひとりもいない。これでは、処分の時期によって不公平が生じるのは明白だ。
■かつての大リーグ「薬物蔓延による野球人気低下」
大リーグに詳しい野球文化学会会長で名城大准教授の鈴村裕輔氏はこう言う。
「大リーグではかつて薬物は公然の秘密とされ、使用が横行していました。しかし90年代後半、ドーピング違反によって活躍したメジャーリーガーに憧れていた高校生が薬物の過剰摂取で死亡。これが大きく報じられ、大リーグへの批判が高まると、MLBはWADA(世界反ドーピング機関)から名指しで批判されるようになった。04年に『5回の違反で1年間の出場停止』という規定を導入。薬物の蔓延で野球人気が低下し、若い有望な選手がNHLやNFLに流出する傾向があったため、早く手を打たなければという動きも、厳罰化のきっかけになりました。大リーグの場合は誰でも同じ制裁を科す、ある意味で平等です。日本は性善説で成り立っているところもあり、甘い部分があるかもしれません」
ペナルティーにもフェアプレーが求められる。