自ら引退を申し出 寂しくも美しいメッセンジャーの引き際
だが、メッセンジャーは潔く引退を選んだ。もともとプライドが高く、それゆえのプロ意識や責任感も強いとされていた投手だから、エースとしての力が十分に発揮できないくらいなら辞めるという、彼なりの美学なのかもしれない。NPB通算成績は実働10年で98勝。100勝まで残り2勝に迫っており、個人的にはもったいないと思うのだが、メッセンジャーはそういう記録にこだわらない男なのだろう。
■能見とリリーフで
同じ時代を投打の主力として過ごした鳥谷は球団から肩を叩かれ、メッセンジャーは自ら引退を申し出た。かつてメッセンジャーと共に虎の先発の柱だった盟友・能見篤史は、40歳になった今はリリーフに転向し、老獪な働きを見せている。
実を言うと、私はそんな能見とメッセンジャーが共にリリーフとして晩年にもう一花咲かせることを密かに夢想しては胸を膨らませていた。かつて虎の先発ローテを支えた2人が年を重ねて今度はブルペンを支えるようになり、そこに藤川球児も加わるなら、こんなに豪華な終盤のリレーはない。ショートイニングでのメッセンジャーなら往年の剛腕も復活するのではないか、と。