アマ時代を知らねーだろ!同僚とコーチが罵り合いを始めた
キャンプ地球場でのこと。選手のほとんどが昼食を済ませ、ガランとした食堂でスカウトと打撃コーチが言い争いをしている。というか、互いにエキサイトして胸ぐらをつかみそうな勢いだ。
「オレはアイツのシュアでコンパクトな打撃を評価したんだ! 球団もそれを認めたからドラフトしたのに、あんなにブンブン、バットを振り回してたら良さがなくなるじゃねーか」
「何を言ってるんだ。バットはしっかりと振れるし、こっちでフリー打撃をやらせたら柵越え連発じゃないか! 監督にも『あの子は当てにいってない。バットを振り切れるし、間違いなく良くなりますよ』って報告したくらいさ」
「打撃投手の球をいくら飛ばしても、参考になんかならないって。だいたいアンタはアイツのアマチュア時代を知らねーだろ! ヤツの体形をよく見ろよ。背は高いが、太もも、ふくらはぎの細さ……パワーヒッターになれるはずがないだろ!」
売り言葉に買い言葉って感じで、しまいには罵り合いに。部長が止めに入らなかったら、食堂が本当に血で汚れたかもしれなかった。