コロナより怖い酷暑 炎天下での長時間プレーを医師も疑問
日本列島は連日「危険な暑さ」が続いている。環境省と気象庁は9日、東京、栃木、茨城、群馬、埼玉、千葉、神奈川の7都県において、10日に熱中症の重症者が多発する恐れがあるとして「熱中症警戒アラート」を発令(来年度から全国で実施予定)した。
この日、東京の最高気温は35・2度。大阪は37・1度だった。幸い初日の甲子園から熱中症の患者は出なかったが、毎年選手や応援団など、多くの者が酷暑でダウン。球場の救護室に運ばれるのは、ひとつの「風物詩」になっている。
長時間炎天下でプレーする高校野球のあり方に、多くの医師が疑問を呈している。熱中症を予防するための暑さ指標「WBGT」(湿球黒球温度)では、WBGT31度以上(気温35度以上=参考)で「運動は原則禁止」。WBGT28~31度(同31~35度)でも、「熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける」とされている。
しかし、そんなことを守っていたら、東京や大阪はもちろん、多くの県で地方大会さえ開催できなくなる。甲子園大会では、理学療法士が熱中症予防のケアに対応。高野連は冷水ペットボトルを用意し、試合中に選手は手のひらや額などを冷やし、体温の上昇を抑制している。いざというときのために、ベンチには体温計や血圧計、氷嚢などが用意されているが、2年前は気象庁が「災害級」とまでいった暑さの中でも大会が行われた。酷暑を前提に、こんな「準備」をしていること自体、人道問題だ。