<1>「ホントよく泣いたよ」右ひざ手術後の復帰で本音吐露
いつもは強がっているのに時折、繊細さや脆さを垣間見せる。そのナイーブな立ち居振る舞いを放っておけなくなる。
彼の周りに常に多くの人が集まるのは、ひとえに<人たらし>のキャラクターゆえだろう。
18年1月、8年ぶりに古巣の鹿島に復帰した後も、ケガとの戦いは続いた。18年はJ・12試合、19年は10試合出場と「出ては休む」の繰り返し。もう体が言うことを聞かなくなっていたが、それでも32歳の誇り高きフットボーラーは、常に鎧を身にまとい続け、強がり続けた。しかし、ついに鎧を脱ぐ決断を下した。
これからは<自然体の内田篤人>でいられる時間が増える。誰よりもそのことを本人が喜んでいるのではないだろうか。
そんな彼を初めて見たのは16年前。圧倒的なスピードに目を奪われた。
▽うちだ・あつと 1988年3月27日生まれ。静岡・函南町出身。清水東高から2006年に鹿島入り。クラブ史上初となる高卒ルーキー開幕スタメンを果たし、プロ初得点を17歳11カ月22日で決めた。J3連覇の立役者となり、10年7月にドイツ1部シャルケに移籍。10―11年シーズンの欧州CLでは日本人最高位となるベスト4入り。18年に鹿島復帰。20年8月20日に引退を発表した。08年1月に日本代表デビュー。W杯は10年南ア、14年ブラジルと2大会連続メンバー入り。A代表74試合。