<1>「ホントよく泣いたよ」右ひざ手術後の復帰で本音吐露
「チームの助けになっていない、契約を解除して引退させてほしい、とお願いした。それが鹿島の選手としてのけじめです」。日本サッカー界屈指のスター選手だった内田篤人が、8月23日のガンバ大阪戦を最後にユニホームを脱いだ。「ウッチーは男にも女にも愛された」とJリーグ・原博実副理事長に言わしめた人間味あふれる男の足跡を丹念にたどった――。
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2014年2月9日。
超満員の大観衆で埋め尽くされたドイツ・ゲルゼンキルヘンのフェルティンス・アレナ。地元シャルケがハノーファーを2―0でリードしていた後半43分、ドリブルでボールを運んでいた背番号22がセンターサークル付近で倒れた。顔をゆがめて自ら交代をアピール。
長くつらいケガとの戦いの始まりだった。
「ケガした瞬間は単なる肉離れだと思った」
本人は楽観視したが、右ひざの腱が骨化するという稀有な症例。簡単に治るはずはなかった。