パ熾烈なV争い 追われるソフトBより追うロッテ有利の根拠
鬼門は西武戦
ただ、ロッテは今月上旬、選手8人が新型コロナウイルスに感染。投手では岩下、野手では遊撃のレギュラーとして定着していた藤岡をはじめ、荻野、角中、清田、菅野、鳥谷ら、いずれも一軍選手が大量に離脱した。
さらに中継ぎの東妻、小野、山本、若手の和田と外野手の岡が濃厚接触者と認定された。いずれも一軍選手ばかりだ。
事情が事情だけに手放しで喜ぶことはできないとはいえ、ソフトバンクにとってはプラス材料になるのではないか。
ホークスOBの山内孝徳氏は「むしろ、それがロッテの武器になりかねない」と、こう続ける。
「現在は3ゲーム差だが、今月27日からの直接対決までに差が縮まれば、どう転ぶかわかりませんよ。時期的にコロナで離脱した選手が戻ってこないとも限らない。療養明け、あるいは隔離明けの二軍調整を短縮すれば不可能ではない。彼ら主力が復帰となれば、チームは盛り上がり、勢いは増すでしょう。3ゲーム差もあれば、相性を考慮してもソフトバンクがやや有利と言えるが、2ゲーム以下では心もとない。ソフトバンクにとってのポイントは8勝8敗1分けと五分の戦いを繰り広げている西武戦が、7試合も残っていること。月末のロッテ戦直前には、西武との3連戦が行われる。ここでモタモタすることがあれば、ロッテを有利にさせかねません」
ロッテは計13人が離脱して以降は3勝4敗。一方、ソフトバンクは主力に離脱者などはおらず、これ以上の戦力の上積みは望めない。
■リリーフ陣温存
両軍のこれまでの戦い方もカギになる。
1998年の日本一監督で評論家の権藤博氏は、「シーズンの成否は結局、投手力。特に抑えを含めたリリーフ陣のスタミナ、気力をいかにして最後まで持たせるか。デッドヒートになればなるほど、それがモノを言う」と言っている。
だとすれば、分があるのはロッテだ。ロッテは吉井投手コーチの「3連投はさせない」という方針の下、リリーフの起用には慎重に慎重を重ねてきた。先発投手の投球回数はソフトバンクの551回3分の2に対して、ロッテはリーグトップの585回3分の1。先発投手に我慢強く責任を果たさせることで、救援陣の負担を軽減してきた。
パの投手の登板試合数を見ると、46試合でトップのモイネロをはじめ45試合の高橋礼、44試合の森、41試合の嘉弥真とソフトバンク勢がトップ8に4人いるが、ロッテは44試合の益田のみ。チーム2位の小野、3位のハーマンはそれぞれ33試合、32試合にとどまっている。リリーフ陣に余力があるのはロッテの方だ。今季のロッテは1点差試合で19勝9敗と接戦に強い。シーズン終盤となれば、疲労の少ないリリーフ陣の本領発揮という強みがある。
ロッテはこの日負けたとはいえ、2年目の藤原が初回、右翼に先頭打者弾を放つなど4打数2安打1打点。新加入の先発チェンも、6回2失点とゲームをつくった。コロナで主力が離脱しても、影響は最小限に食い止めている。
土壇場でロッテがまくる可能性は十分ありそうだ。