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安倍昌彦スポーツライター

1955年、宮城県生まれ。早大卒。アマ時代に捕手としてプレーした経験を生かし、ドラフト候補のボールを実際に受けて取材するスタイルを確立。通称「流しのブルペン捕手」。自身が責任編集を務める雑誌「野球人」を始め、著書、寄稿は多数。

ドラ1は確実 福岡大大濠・山下舜平大の直球は“鉄球”の衝撃

公開日: 更新日:

「とにかく、しゅんぺいたには<余力>がありますから……。そこが末恐ろしい」

 9月、山下舜平大の全力投球を、福岡大大濠グラウンドのブルペンで受けた。

 この時がいちばん驚いた。そりゃあ、とんでもないボールだった。

 ブルペンで受けて話を聞いて記事を書く……。このスタイルの取材を始めて20年。およそ240人に及ぶ快腕、剛腕の中で、ナンバーワンなのではないか。

 東海大・菅野智之、花巻東・大谷翔平……球史に残る大選手が何人もいる中で、これほど破壊力のあるボールをこちらのミットに投げつけてきた投手がいただろうか。

 遠い記憶だから、印象が薄れているわけじゃない。ミットの中の左手の記憶は永遠に「等身大」だ。うなる剛球……なんてもんじゃない。左手の人さし指なんか、いちばん上の関節が今も前に曲がったままだ。

 150キロ近い剛速球が、ブルブル震えながらこっちに向かってくる。

 ミットにめり込んでくる衝撃は「鉄球」だ。

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