中日エース大野雄大に残留情報 巨人垂涎もコロナで資金難
「確実にチーム力が上がっている」
中日の関係者は手応えを口にする。10月に入って16勝6敗と大きく勝ち越し、阪神、DeNAを抜いて2位に浮上。前年5位から、8年ぶりのAクラス入りを果たすのは時間の問題だ。
先日の球団取締役会では、3年契約2年目の与田剛監督(54)の来季続投方針が確認されたが、誰よりチームの躍進に貢献しているのは、今季10勝5敗をマークし、巨人の菅野を上回るリーグトップの10完投、6完封で防御率1・79を誇るエース左腕の大野雄大(32)である。中日OBが言う。
「選手やチーム関係者は、『大野が投げる試合は負ける気がしない』と言っている。リーグ連覇が確実な巨人に対し、10勝12敗2分けとライバル5球団で唯一、まともに渡り合った。中でも大野は巨人相手に2勝2敗ながら、防御率1・32とキラーぶりを発揮。大黒柱がしっかりとチームを支えることで、地に足のついた戦いができるようになりつつあります」
さらに、福谷、勝野ら先発投手が固定されつつあり、救援陣も、抑えのR・マルティネスこそ故障で離脱したものの、祖父江、福、谷元らが活躍。勝ちパターンが構築された相乗効果で貧打に喘いでいた打線が活性化。8月まではチーム打率・238だったが、9月以降は打率・272と大幅に改善された(26日時点)。
「来季、巨人の3連覇を阻み、2011年以来のリーグ優勝を果たすためには、国内FA権を取得した大野の残留が必要不可欠。しかし、大野を巡っては巨人や阪神、メジャーの複数球団が関心を示している。特に巨人は、エースの菅野のメジャー挑戦が濃厚。中日の戦力をそぐ意味合いもあり、大野がFA宣言をすれば争奪戦に乗り出すとみられています」(前出のOB)
■相場は3年8億~10億円
大野雄は昨季、防御率2・58で最優秀防御率のタイトルを獲得。オフの契約更改では球団の複数年契約の提示を断り、単年契約の年俸1・2億円でサインした。パ球団の編成担当は、「今季の活躍で大野に対する日米球界の評価が高まる中、マネーゲームに発展すれば、資金力では巨人や阪神、メジャーの方が有利。移籍は確実だろう」と言うのだが、名古屋方面からはここにきて、中日残留の目が出てきた、との声が強まっている。球界OBが言う。
「大野争奪戦は少なくとも3年8億~10億円規模になる。中日は昨オフ、海外FA権の行使に揺れる大島と年俸2・5億円の3年契約で残留にこぎ着けたように、大野にも誠心誠意、残留を求める。条件面では今季年俸の倍となる2・4億円以上の条件を提示する準備があるとも聞いています。今季はコロナ禍で球団の収入が大幅に減りますが、今オフ、大型契約が必要な選手は大野だけ。選手会が発表した選手の年俸総額(外国人選手を除く)は19・4億円で12球団中10位と少ない分、大野により多くの資金を用意できるはずです」