阪神はFA補強ゼロ…ドラ1佐藤に期待と注目“全集中”の危険
いくら佐藤がアマ球界ナンバーワン野手との呼び声が高いといえども、いきなり大活躍するとは限らない。恩師である近大の田中監督は、「トレーニングはしっかりやる選手ですから、体づくりの点では心配はしていません。プロ入り後の課題を挙げるとすれば対応力でしょう」と言っている。
新人選手の大半は最初、アマとプロとのレベルの違いに戸惑うものだが、佐藤はプロの球に対応するまで、時間がかかる可能性があるというのだ。
田中監督が続ける。
「今でこそ徐々に四球を選べるようになってきましたが、入学当初はワンバンでも何でも振る『ブンブン丸』でした。打てなくなると、手でバットを操作しようとするというか、上体に頼った打ち方になることもありました。私はこの4年間、打撃コーチの指導とは別に、佐藤にはトップの位置の大切さについて、話してきました。いつでも打てる状態をつくれば、ボール球の見極めにもつながる。さらに、下半身主導で股関節に体重を乗せ、しっかり踏み込んで打つことが大切になるのでは、と思っています」
対応するまでに時間を要するとすれば、練習試合やオープン戦で苦戦を強いられるかもしれない。そうなれば、矢野監督が掲げた開幕スタメン構想は水泡に帰すことも考えられる。期待をすればするほど、その反動は大きくなる。逸材を潰さないためにも、過度な期待は禁物だ。