FC東京をルヴァン杯制覇に導く 長谷川健太監督の実像<下>
「タイトルは1個取れば集まってくる」という予感は的中するか?
長谷川監督がFC東京を率いるようになった2018年、シーズン序盤は右SBに明治大OBのDF室屋とユース出身のDF岡崎を併用して使った。
長谷川監督の岡崎評は「パスを<付ける>のがうまい」という評価だった。右サイドでボールを持った岡崎は、サポートに動いたボランチにはもちろん、スペースがあれば2トップにも正確な縦パスをスパッと入れることができる。そこを長谷川監督は<付けることができる>と評価したのだろう。一方、室屋に対しては「お前の良さは縦に勝負すること。だから(ボールを持ったら)迷わず縦に仕掛けろ」とアドバイスしたそうである。
指揮官のひと言で室屋は迷いが吹っ切れた。もともと「スタミナはある方なので。皆がバテていても俺は走れるんで」と言うだけあって本人は右サイドを何度も何度も上下動し、得意のスピードでFC東京の切り込み隊長を務めた。
■永井を覚醒させたシンプルなひと言
同じことは永井にも当てはまる。FC東京に移籍した17年シーズンの永井は4ー4ー2、4ー2-3ー1の右MFに起用されることが多かった。