巨人5冠達成の日 私は「お世話になりました」と部屋を出た
2012年、巨人の一軍バッテリーコーチ就任1年目は、交流戦からペナント、CS、日本シリーズを制し、さらにアジアチャンピオンになって「5冠」を達成した。「日本一になったら年俸を上げてもらう」と約束をしていたつもりだった私はその日、韓国の宿舎ホテルで来季の年俸を提示され、また驚いた。
ちょうど1年前、巨人に呼んでくれた清武英利球団代表兼GMに提示された年俸は、中日コーチ時代、さらにBCリーグ群馬の監督時より下の額だった。日本一になり、意気込んで来季の契約の場に向かうと、新たなGMに就任していた原沢敦球団代表から「お疲れさん」と言われ、提示された額は100万円増。中日時代には遠く及ばない額だった。頭に血が上った私はこう言い返した。
「話が違います。日本一になったら、中日時代くらいの額まで上げてもらうという約束で頑張りました。清武さんから話を聞いていませんか?」
原沢GMは「希望額とは離れ過ぎているので、これだと無理かもしれませんね」と返答した。
「日本一になれて5冠も達成できたので、球団にも監督にも恩返しができたと思います。1年間お世話になりました」