組織委“ポスト森”人事はデキレース スピード会合の不自然
女性蔑視発言で辞任表明した東京五輪・パラリンピック組織委員会、森会長の後任候補を選考する検討委員会。16日、初会合が開かれ、17日に行われる2回目の会合で、早くも内定する運びとなっている。次期会長を検討する重要会議の割には、16日はたった1時間ちょっとで終了。複数の候補者の名前が挙がったが、もう後任は決まっているのだろう。この組織に透明性を期待している国民も少ないだろうが、結局はデキレースだ。
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「8人の検討委メンバーがそれぞれ候補者を持ち寄るわけですから、これほどの“スピード感”は不自然。既に話がついていて、あとは『手続き』だけという段階にまできているのではないか」
ある組織委関係者は日刊ゲンダイにこう話した。明らかになっている検討委メンバーは、御手洗冨士夫名誉会長、山下泰裕(JOC会長)と多羅尾光睦(東京都副知事)両副会長、室伏広治(スポーツ庁長官)、田中理恵(体操女子)、荒木田裕子(IOC委員)、成田真由美(パラ競泳)、谷本歩実(柔道女子)の5理事の計8人。
16日は、新会長に求められる資質として「5つの観点」が取りまとめられたが、これは形だけ。実際はもう後釜は決定済みと、冒頭の関係者はみているようだ。
「議論しました」と体裁を整えるだけの“セレモニー”
しかも、やっぱり森氏に近い人物が新会長の椅子に座る可能性が高い。検討委を仕切る御手洗氏は、森氏に近い。検討委メンバーの組織委理事も、森氏に「わきまえておられる」と評された面々である。新会長選定過程で、森氏の“ご意向”を無視できるわけがない。
「後任候補として、アスリートの小谷実可子さんや室伏広治さんらの名前が挙がっていますが、会長職が務まるかは未知数です。手腕がないわけではありませんが、『次期会長』の職務は相当、困難です。最も厳しいのは、大会が『中止』になった場合。仮設設備の維持管理、撤去、復旧などに関する契約をどう処理するか。最悪、キャンセルしないといけない案件も出てくるでしょう。膨大な報告書を精査し、数百億円単位の財務処理を決裁する立場となるわけです。そんな“敗戦処理”は誰もが担いたくない。『火中の栗を拾える人はいない』というのが、大方の関係者の見方です」(前出の組織委関係者)
つまり、誰に“貧乏くじ”を引かせるか、を「検討」しているのが、今回の委員会というわけだ。東京五輪に関し、著書がある作家の本間龍氏はこう言う。
「今回は、トップ人事の『密室決定』への批判を受け、検討委による議論の機会を設けたわけですが、不自然なくらいスムーズに進んでいます。真面目に議論したのなら、もっと揉めるはずです。結局、『議論しました』と体裁を整えるだけの“セレモニー”なのでしょう。そもそも、ただのお飾りである組織委の理事に、正面切って物申せる人物はいません。森会長に近い御手洗氏が『じゃあ○○さんで決まり』と言えば、皆、追認するしかないでしょう」
「ポスト森」選びについて、大手メディアは「透明性が課題」なんて報じているが、そもそも、“密室政治家”の森喜朗氏をトップに頂いていた組織に「透明性」など求めてもムダというものだ。