錦織圭よ、東京五輪は忘れた方がいい マイペースで頑張れ
■全豪の二極化
全豪は二極化の進行だった。今年35歳、34歳になるナダルとジョコビッチが故障を乗り越えて勝ち進む一方、20代前半が団塊的に伸びた大会だった。
8強に3人のロシア人が入り、カナダは21歳シャポバロフと20歳オジェアリアシムが火花を散らし、イタリアの24歳ベレッティーニがトップ10入りしたと思ったら19歳のシンネルもきた。スペインからはナダル激賞の17歳アルカラスが1回戦突破……。
こうした団塊の突出には背景がある。前哨戦として国別対抗戦のATPカップを含め男女6大会が全豪と同じ会場で開催された。普段はバラバラな同じ国の選手たちが一堂に会して練習し、オリンピックやデ杯のような環境になった。図らずも、各国のテニス協会のここまでの努力の差が露呈したのだ――。
■カナダ協会とは対照的
カナダの台頭は、錦織の良きライバルである同世代のミロシュ・ラオニッチがきっかけだった。カナダ協会は待ちに待ったスター誕生を糸口に改革し、トップ選手を送り出した。日本協会は錦織の出現から何をしたか。最大の財源である楽天オープンは、錦織人気で黙っても即日完売できたが、その金がファンに還元されただろうか。大坂なおみの国籍問題をクリアしたくらいだろう。
要するに協会は100年に一度の逸材の出現にも改革する気などさらさらない。それでも錦織がオリンピックで活躍すれば(出れば活躍するだろう)、まるで我が手柄のように語る……錦織よ、オリンピックは大坂なおみに任せてマイペースで頑張れ。