来日8万人を管理できるのか? 検査もなく、行動制限も緩い
組織委が昨年公表した大会警備人員は約5万人。内訳は、警察官2万1000人、民間の警備員1万4000人、ボランティア9000人だ。観客受け入れの有無で人数は増減するとはいえ、多くは競技場や周辺の雑踏警備やテロ対策に割かれる。警備人員を上回る大会関係者8万人弱の監視は不可能だ。
政府が訪日外国人管理の切り札としていた新型アプリは、入国査証や位置情報の確認機能を省くことになったため、役に立たない。
大会関係者の中には、各国の首脳や王族らが含まれる「オリンピックファミリー」と呼ばれる重要人物(VIP)もいる。警護者付きで外出するVIPを国外追放できるだろうか。
また、報道関係者は約7000人、大会中継の中核を担うIOCの関連組織オリンピック放送機構(OBS)は2万人余りにのぼる。
22年冬季北京大会を控える中国は3000人の報道関係者派遣を表明し、既に機材を日本に送り込んだ。大会開催を前に準備のために訪日する彼らの行動を規制しようもない。
もとより日本は民主主義国家であり、中国と異なり、報道の自由を政府が自在に制限できる国柄ではない。組織委や都のボランティアは選手と接する2万人足らずのみワクチン接種し、残りは放置だ。武藤敏郎事務総長は2日、ボランティア1万人の辞退を発表。感染対策を不安視した辞退者の続出は当然といえ、大会の安全性は足元から崩れている。(つづく)