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後藤逸郎ジャーナリスト

1965年生まれ。毎日新聞大阪経済部次長、東京本社特別報道グループ編集委員などを経て現職。著書に「オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側」(文春新書)。

IOC「オリンピック貴族」は特別扱いされ5つ星ホテルを満喫

公開日: 更新日:

「中止の選択肢は事実上ない」――。国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員は、5月25日の米CNNの取材で断定した。

 新型コロナウイルス感染拡大で、政府が3度目の緊急事態宣言を再々延長し、東京2020オリンピック・パラリンピック大会開催を不安視する日本人に対し、結論だけを押し付けた。パウンド委員はさらに「すべてを保証できる者はいない」とも述べ、オリンピック強行開催後の感染爆発が日本人の杞憂でないことを確信させた。

 日本国民の神経を逆なでするようなIOC幹部の発言は枚挙にいとまがない。IOCの東京大会調整委員長のジョン・コーツ副会長は5月8日、緊急事態宣言下でも「絶対に開催される」。トーマス・バッハ会長は競技団体の会合で「我々は犠牲を払わなければならない」と宣言した。

 まるで封建領主が領民を諭すかのような言動は、「オリンピック貴族」の自負がなせる業だ。事実、IOC委員と競技団体幹部は自ら「オリンピックファミリー」と称し、開催都市の東京都と組織委員会にとって下にも置かない存在だ。開催都市契約大会運営要件は、IOC関係者のため、4~5つ星ホテルのシングル、ダブル、ツイン、数部屋のスイート計1400室提供を確約している。これらのホテルは「オリンピックファミリーホテル」(OFH)と呼び、部屋の配分は「IOCの単独の裁量」で決める。宿泊中はオリンピック旗の常時掲揚や救急車も用意される。

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