菅首相が大好きな「東洋の魔女」に込められた時代遅れな思い
どうやら菅首相の脳裏には、よっぽど「東洋の魔女」が強烈に焼き付いているらしい。菅首相にとっては、倒れながらも必死でボールを拾う選手の姿は、まさに「底知れない人間の能力」が生み出す「自助」なのかもしれないが、「東洋の魔女」は美談だけが語り継がれているわけではない。
■今なら総スカンのパワハラ練習
当時の女子バレーチームは「鬼の大松」と呼ばれた大松博文氏の指導の下、練習が翌朝にまで及ぶことがあり、選手は生理中でも休むこともままならなかった、などと伝えられている。
スポーツ科学が発達した今、翌朝まで練習しろ、生理でも休むな、なんていう監督がいたら間違いなくクビ。選手からも総スカンだ。
そんな現在のアスリートに向かって「東洋の魔女」を例に挙げた菅首相のメッセージにはどんな意味が込められているのか。
コラムニストの小田嶋隆氏は「党首討論では『東洋の魔女』の話を時間稼ぎに使ったのでしょうが、それを壮行会であらためて取り上げる時代遅れのセンスのなさ」と切り捨て、こう続ける。