東京五輪900億円チケット収入ほぼパア…早くも始まった醜い損失の押し付け合い
突き放すような口調だった。
「それは、組織委員会が精査をしていくと認識している」
丸川珠代五輪相のセリフである。自身も出席した8日の5者協議で、1都3県の会場で無観客開催が決まった東京五輪。これにより、組織委が見込んでいた約900億円のチケット収入の大部分が消滅する。9日の閣議後の定例会見で、その費用負担や責任主体について聞かれ、「まずは、組織委で具体的な検討が進められる」との認識を強調。ネット上には、<まるで他人事><金を出す気がないんだろ>などの意見があふれた。
開催都市契約では、五輪開催で組織委が赤字に陥った場合、その補填は東京都が担う取り決めになっている。都が補填しきれないときは、「日本国政府が国内の関係法令に従い、補填する」となっているが、約1兆円あった都の財政調整基金はコロナ対策でスッカラカン。2021年度都税収入も前年比で約4000億円減となる約5兆円にとどまる見通しだ。
ただでさえ、招致段階で「コンパクト五輪」をうたった東京大会の開催費用は、当初の7340億円から1兆6440億円に膨れ上がった。これは12年ロンドン大会を抜いて史上最高額。今となっては「コンパクト」が聞いて呆れるが、そのうち東京都は1年延期による追加費用1200億円を含む7170億円を負担することになっている。財政難が現実味を増す東京都では、とても賄いきれないのが実情だ。