勝ってもFWの無得点は不甲斐ない 上田綺世が覚醒する日を心待ちにしている
久保のパスを受けた上田が左足でシュート。GKがはじいたボールが右サイドで宙を舞った。そこに日本選手が走り込み、フリーの状態でゴールに押し込んだ。
OA枠選出の右SB酒井だった。まるで攻撃系選手のようなプレーに「なんでそこに?」となったわけだが、チーム全体でアグレッシブにゴールを狙っていくぞ! という意識の高さに他ならず、好印象を持った。
先発した1トップの上田には、大会前から期待する選手のひとりとして注目していた。
万能型CFの資質も十分に兼ね備え、何よりも「得点を重ねる」雰囲気を醸し出しているFWである。しかし「シュートを打っても決め切れない」という壁にぶつかっている感は否めない。
喜怒哀楽を出さず、常に飄々とプレーする彼には意識変革を求めたい。
現役時代、チームが勝っても無得点に終わったら、はっきり「不機嫌な自分」を自覚していた。
課せられた使命は「ゴールを決めてチームの勝利に貢献する」こと。責任を果たせなかった自分の不甲斐なさを責め、そして「毎試合ゴールを決めないと満足できない」という思いは、現役を引退するまで心の奥底でメラメラと燃え盛っていた。
彼が同じ思いを胸に秘め、頼れるストライカーとして覚醒する日を心待ちにしている。
(構成・日刊ゲンダイ編集部)