“体裁第一”だった東京五輪のチグハグ 競技直後マスク、メダル授与式、会場になぜか「応援団」が…
「日本中どころか、世界中があの光景を異様に感じたでしょう。開催の是非が問われる五輪で、組織委員会の『しっかり対策を取っているから、新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大は関係ありません』というポーズにしか見えませんでした。『アスリートファースト』ではなく『体裁ファースト』というのがよく分かった一例です」
■無観客のはずが“応援団”が
メダル授与式もしかりだ。感染対策として、今回は大会役員がトレーに載せたメダルを選手に差し出し、それを自ら首にかけるという方式が取られた。IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長は「選手たちはメダルが他の誰にも触れられていないと確認できる」と理由を説明していたが、団体競技の多くは選手が互いの首にメダルをかけ合った。大会の役員がかけないことに意味があったのだろうか。
さらに、ほとんどの競技が無観客開催のはずが、観客席にはなぜかそこそこの「応援団」がいて、熱い声援が送られていた。これは各国の選手団、競技団体の関係者、会場で働くボランティア、警備員、荷物検査を担当する自衛官らで、業務時間以外なら、観客席で観戦していいことになっていた。前出の吉川氏は「競泳を見ていたら、マスクをしないで自国の選手に大声で声援を送っている国があったし、柔道や卓球では、まるで観客が入っているかのようなチーム関係者からの大声援が聞こえてきた。札幌で行われたマラソンでは、二重、三重の人垣がコース沿いに続き、人々がスマートフォンで選手たちを撮影していた。それでも、誰が注意をするわけでもない。開会式の日に東京で五輪反対のデモを行った人たちに対しては、警察が出動していますから、おかしいですよね」と指摘する。
一事が万事チグハグだった。これで「成功した」といえるのだろうか。