甲子園の裏舞台 担当した選手の活躍がスカウト本人の再就職につながるケースもある
第2試合の智弁和歌山(和歌山)対高松商(香川)にもドラフト候補のリストに載っている選手がひとり出ていたけれど、春からの成長という点で物足りない。この期間の成長度合いは今後の伸びしろを測るうえで大きな判断材料になるから、今年のプロ入りは厳しいと思う。
伸びしろは大事な要素だけに、出場した2年生もチェックする。細かいところでいうと、野手の場合はストップウオッチで打席から一塁までのタイムを測ったりね。地道な作業は結局、自分に返ってくるんだ。
オレたちスカウトの大半は単年契約。いつ、クビを切られてもおかしくない立場だから、良い選手を発掘し続けなきゃならない。
昔、こんなことがあった。オレは「ドラフト1位で指名すべき」と上に進言したんだけど、会議では多くのスカウトがほとんど評価しなかった。結局、3位か4位で取ることになったんだけど、後に彼がドラフト1位クラスの活躍をしたもんだから球団内部でオレの評価はグンと上がったさ。それも地道なチェックを重ねて、彼なら間違いなくプロでも活躍するという確信のようなものがあったからなんだ。