アーチェリー男子個人・団体「銅」古川高晴<3>12年ロンドン五輪銀の失敗を生かした準決勝敗退の瞬間
迎えた26日の団体戦は、最初にぶつかったアメリカをまったく寄せ付けることなく撃破。この対戦で古川は計6本放ち、60点満点中57点で全メンバートップの成績を出して快勝の立役者になった。
古川が「年長者としての経験が生きたかもしれない」と語るのはその次戦、韓国との準決勝のことだ。
■「気持ちを切らさないように」
「準決勝に勝ったら決勝、負けても3位決定戦がある。いずれにしてももう1試合残されているのだから、絶対に気持ちを切らさないようにしようと自分に言い聞かせていました。というのも、12年ロンドン五輪の個人で銀メダルを取った時の後悔があるからです。この時は決勝に進めたところで満足してしまった。ほどよく張りつめていた緊張の糸が切れちゃったんです。そんなミスは二度としないようにと」
最終セットを同点で終え、シュートオフ(各選手がそれぞれ1射し、もっとも中心に近い矢を放ったチームの勝利)にもつれた。
「韓国に敗れた瞬間、チームにも自分自身にも、落胆する間を与えないようすかさず、『はい次! すぐ3位決定戦があるから、気持ちを切らさないようにしよう!』と鼓舞することができました。(メンバーの)2人にも僕の気持ちが届いてくれていたかな(笑い)」
チームの精神的支柱となり、3位決定戦のオランダ戦ではシュートオフを制して日本男子史上初の団体銅メダルを手に入れた。
この快挙が28日、31日に控えていた個人戦の追い風につながったという。 =つづく