照ノ富士が霧馬山の工夫を粉砕! 最大の武器はモンゴル力士らしからぬ「鋼のメンタル」
まさに「動かざること山の如し」である。
初日から5連勝と快進撃を続ける横綱照ノ富士(29)。16日もモンゴルの後輩、霧馬山の挑戦を退けた。
照ノ富士の得意の型は右差し左上手。当然、対戦相手は横綱にこの体勢をつくらせまいと工夫している。霧馬山も低く当たり、照ノ富士にまわしを取らせない試みは成功した――かに見えた。
しかし、照ノ富士に左下手を取られると頭をつけたまま膠着。腕を巻き替えて流れを変えようとするも、次第に上体が上がって胸が合ってしまい、最後は寄り切られた。
親方のひとりは「照ノ富士は良い意味でモンゴル出身力士らしくない」と、こう続ける。
「最近は自分の得意の型になれなかったり、思い通りに事が運ばなかったりすると、苦し紛れに引いて自滅する力士が多い。モンゴル出身力士は特に顕著。鶴竜(現親方)もそうだったし、白鵬もそのケがある。照ノ富士は引き技を使わないわけではないが、それは相手の体勢次第。慌てて引くケースはない。下手に下がったら、バクダンを抱える両ヒザへの負担が大きいことも無関係ではないでしょう。そうした事情に加えて、精神力も群を抜いている。相手を土俵際に追い詰めても、体勢不十分なら無理に攻めない。この日も1分超の相撲で霧馬山を料理した。これができる力士は、そう多くありませんよ」