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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

ストライキの懸念も…新労使協定を巡る交渉が難航するカラクリと波紋

公開日: 更新日:

 新しい労使協定を巡る機構・経営陣と選手会の対立が深刻になっている。

 米国東部時間の12月1日23時59分、現行の労使協定は失効する。もしそれまでに新協定が締結されなければどうなるか。経営陣が選手の排除を行い、各球団で40人枠に入っている選手の移籍やフリーエージェント(FA)選手との契約交渉も停止する。さらに、毎年12月初旬に行われるウインターミーティングについても、大リーグ関連の会合などは中止され、マイナーリーグや業者間のみの参加になる公算が大きい。

 今後の展開を見越して、有力なFA選手を顧客とする代理人の中には、契約交渉を11月中にまとめるべく活発な動きを見せる者もいる。現時点で妥結の見込みがなく、機構側が「FA資格の取得は29.5歳」「年俸調停制度の廃止」「FA資格取得前の選手の年俸を総合指標WARに基づいて算出」といった選手会には受け入れがたい提案を行うなど、事態は紛糾の度を増している。それだけに、出来るだけ早く移籍先を見つけようとするFA選手や代理人の考えは、労使交渉の状況に照らしても妥当なものだ。

 ところで、1995年以来26年ぶりのストライキの懸念も高まるほど労使交渉が難航する理由は、何であろうか。

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