「肘なんてついて食べるなよ!」僕の右肘を内側からパチンと払うと真顔で言った
小島克典(元メジャーリーグ通訳)#1
「よし! これでまた、日本社会は元気になるぞ!」
4日の就任会見で新庄さんが発した数々の言葉を聞いて、僕は真っ先にそう思った。同時に2002年から03年にかけてメジャーリーグで通訳を務めていた当時のことが、昨日のことのように蘇った。
「人間性は大事。人の悪口を言わない。いただきます、ありがとうございました、を言える選手を育てていきたいです」と、人間教育の重要性に触れた際に思い出したことがある。
■新庄さんに初めて怒られたのは食事中のマナー
あれはメジャーの開幕から2、3カ月が過ぎたころだったと思う。遠征先でレストランに入った時のことだ。
初めて経験するメジャーのタイトなスケジュールに疲れ切っていた僕は、無意識に片肘をつきながら食事をしていた。
テーブルに肘をついて食べるのは、米国でもマナー違反。僕の行儀の悪さを見るに見かねたのだろう。テーブルの向かい側に座る新庄さんは、長い手を伸ばすと僕の右肘を内側からパチンと払って、真顔でこう言った。