1点を追う試合終盤に二塁で憤死…星野監督は鬼の形相で「何で無理するんや!」と
中日・星野仙一監督の就任1年目、1987年の巨人戦だった。1点ビハインドの試合終盤に、私は右翼線にヒットを放った。ライトの仁村薫がファンブルしたため、思い切って二塁へ進んだら、好返球で間一髪タッチアウト。少しでも送球がそれればセーフになっていたタイミングだった。トボトボとベンチへ戻った私を鬼の形相の星野監督が仁王立ちで待ち構えていた。
「このボケ! 何で無理するんや!」
そう怒鳴られ、尻を蹴り上げられた。私は猪突猛進なところがあり、前のめりに全力プレーをするのがモットーだ。そのためにケガをすることもあったが、それは私の野球本能でもある。あの走塁を否定されては、長所が消えてしまう。星野監督も思い切ったプレーに対しては怒らないことが多かっただけに、納得がいかなかった。「無死一塁と無死二塁では大違いなので……」と反論しようとしたが、グッとのみ込んだ。プロは結果が全て。セーフになれば好走塁だし、アウトになれば暴走だ。分かってはいたが、悶々とした気分だった。すると、藤波行雄さんが近くに来てこう慰めてくれた。