阪神・原口文仁は帝京高時代、2時間かけて帰宅した後も自宅で打撃練習をしていた
プロで長く生きていくためには、「実力」はもちろん、「性格」や対戦相手の関係者の目に留まるような「運」も大事。スカウトは目当ての選手が所属するチームの監督から話を聞いて情報を収集することが重要になる。アマチュア側は教え子をプロ入りさせれば実績になるため、悪いところやマイナスの部分は教えてくれないものだ。それでも、多少でも言ってくれる監督は信用できる。
例えば前田監督は「原口はマジメで練習熱心。リーダーシップもあって人間性もいい。でも足はない(速くない)よ」とニヤリ。前田監督は教え子をプロに送り慣れているから、包み隠さずに教えてくれた。
阪神は2009年ドラフト6位で原口を指名。16年には打率.299、11本塁打、46打点をマークし、オールスターにも出場した。しかし、19年1月に大腸がんを患っていることを発表。手術、リハビリを経て同年6月には一軍に復帰し、この年に2度目の球宴出場を果たした気持ちの強い男である。
昨秋、「来年も契約してもらえることになりました」とメールがきた。私が担当した岩崎も毎年連絡をくれる。ただ、そんな選手ばかりではない。